転職ビジネス

きょうもカレーを食べながら、友人と話した。これで7日間連続でカレーを食べたことになるが、拙者には別に珍しいことではない。
前の職場で関係のあった友人で、今は二人とも退社しているので、共通の話題であるその職場の批判話に花が咲いた。
その会社は、やたらと管理職を外から採用する。募集にはエージェント会社を利用しているが、3/4以上の確率で使えない人をつかまされている。ポストに空きができたとき、昇進してしかるべき人がいるときも、外から募集する。長く勤めている人は、自分より社歴が短く、仕事も自分より知らない上司の下で働くことになる。そのうち、やる気のある古参社員から順に、馬鹿らしくなってやめていく。それでも、管理職の中途採用をやめようとしない、学習機能のないサルのような会社だった。
きょうはじめて知ったのだが、エージェント会社の人材紹介料は、紹介した人の1年分の給与の30%にものぼるそうだ。紹介料の算定が給与に基づいているので、エージェント会社も管理職を紹介したほうが割がよく、人事担当者をたぶらかして、管理職を募集させているのだろう。また、業務に堪えない人を紹介するのは、離職率を高めてポストの回転をよくし、あわよくば次の人材を送り込むための高等戦術ではないかと考えられる。
最近は仕事風景のビデオまで撮って、応募者に職場の雰囲気を伝えようとするエージェント会社もあるが、そのビデオはいいとこ撮りである可能性がある。その会社にいたときに、拙者とはあまり縁のない部署でそのためのビデオを撮っているのに出くわしたが、たまたま近くを通ったばかりに、会議の風景を撮るビデオに数十秒ほど出演させられたことがある。その場面では、地位を問わず活発でなごやかな会議をやっているようなふりをするように指示された。人をだますようで、ちょっと後味が悪かったな。
転職ビジネスは、派遣会社と同じで、規制緩和に伴って導入されたアメリカ流の稼業である。しかし、「他人のふんどしで相撲を取る」ことから、わが国ではこうした稼業はさげすんできた。本来は会社と労働者が分配すべき労働の果実を吸い上げているのだから、本当にそれなりの存在意義があるのか否か、またその取り分は過大ではないか、問い直す必要がある。