参議院選挙観戦ガイド(最終回)
かわったカレーをつくったけど、選挙ネタのアクセスが多いので、別の機会に紹介する。
今晩朝日新聞の連続世論調査の最終回が公表された。最後に、前回との変化を加えて最終予想をしてみる。
一番目立つ変化は、自民党から民主党への票の流れが加速したこと。比例での投票政党は平成16年の同時期に比べ、自民党24%→20%、民主党25%→32%となり、全有権者比で「自民党→民主党」に前回比10%以上の風が吹いているとみられる。その他の政党では、誤差の範囲内だが、国民新党が新党日本よりも支持を集めているようだ。
1.先週の予想
選挙区 | 比例区 | 獲得数 | 増減数 | 非改選 | 総議席 | |
---|---|---|---|---|---|---|
自民党 | 28 | 13 | 41 | −23 | 46 | 87 |
公明党 | 2 | 6 | 8 | − 4 | 11 | 19 |
与系無 | 1 | − | 1 | *** | 3 | 4 |
民主党 | 36 | 23 | 59 | +27 | 49 | 108 |
共産党 | 2 | 3 | 5 | 0 | 4 | 9 |
社民党 | 0 | 2 | 2 | − 1 | 3 | 5 |
国民新 | 0 | 0 | 0 | − 2 | 2 | 2 |
新日本 | − | 1 | 1 | + 1 | 1 | 2 |
野系無 | 4 | − | 4 | *** | 3 | 7 |
2.一人区の変化
平成16年ベースで「与党5%以上リード」の香川、鳥取、福井、愛媛、佐賀、鹿児島、と「与党10%以上リード」の石川が野党の当選圏に入ることになる。ただし、山口(与党0%以上リード)は首相の出身地、大分(与党5%以上リード)は野党系候補への支持がきれいに割れすぎて不利、群馬(与党5%以上リード)は自民公認候補がきょうの県知事選挙で勝ったため、まだ与党が踏ん張っているとみた。与党5勝24敗となる。
3.複数区
先週と比べて、変化があるのは以下のとおり。京都(自民→共産)、愛知(自民→公明)
5.衝撃の結果
選挙区 | 比例区 | 獲得数 | 増減数 | 非改選 | 総議席 | |
---|---|---|---|---|---|---|
自民党 | 19 | 11 | 30 | −34 | 46 | 76 |
公明党 | 3 | 7 | 10 | − 2 | 11 | 21 |
与系無 | 1 | − | 1 | *** | 3 | 4 |
民主党 | 42 | 24 | 66 | +34 | 49 | 115 |
共産党 | 3 | 3 | 6 | + 1 | 4 | 10 |
社民党 | 0 | 2 | 2 | − 1 | 3 | 5 |
国民新 | 0 | 1 | 1 | − 1 | 2 | 3 |
新日本 | − | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
野系無 | 5 | − | 5 | *** | 3 | 8 |
先週に比べて、自民党が10議席も減ってしまう。公明党は、民主党に奪われた議席を、同じ選挙区の自民党から奪い返す可能性がある。民主党は無所属の何人かが会派入りすると、単独過半数も見えてくる。
選挙最終週は、与党系のあきらめと危機感からの引き締まり、創価学会票をめぐる駆け引き、民主党を中心とした野党系のゆるみと勢い、有権者の『勝ち組効果』と『判官贔屓効果』と戦略投票など、各種のアナウンス効果で風は複雑な気流を生み、その気流が混ぜんとしながら生暖かい微風となって、投票日の審判を迎えることになろう。もし、『勝ち組み効果』が強く現れるとしたら、日本人のやさしさを台無しにする格差政策をとってきた与党にとって、皮肉なブーメラン現象として帰ってきたことになるが。
綿貫さんを見た
国民新党の綿貫さんが都心で応援演説をするというので、行ってみた。
「古里のなまりなつかし停車場」と詠われたターミナル駅前。おしゃれな客が多い衣料品中心の百貨店前、歩道沿いにぴったりと選挙カーを停めて、その歩道上の人々に訴えかけるこじんまりとした雰囲気。安倍さんのときとは違って、動員などはなく、黄色のシャツを着た運動員が10人くらい、歩道上で候補者のチラシを配って回っている。
拙者が予定時刻をわずかに過ぎて着いてみると、もうすでに綿貫さんが一番手で話し始めている。難なく一番いい場所を確保して周りを観察すると、たまたま待ち合わせで立っている人、せっかくだからと足を止めて聞いている人、関係なくティッシュ配りをしている人、できるだけ近くで見ようとがんばっている(がんばらなくても近くで見れる)数人と、いろいろだ。まあ、全部合わせて50人くらい聞いていただろうか。運動員がうちわを数枚持って歩いていたので、もらおうとしてよく見たら、近くのパチンコ屋で配っているやつだった。こんなところにかける金はないらしい。
壇上には、綿貫民輔党首、森田実さん、東京選挙区の公認候補、チベット出身の比例区候補と女性運動員が居り、のちに東京出身の比例区候補が送れて合流してきた。全体的にマイクの音量が小さく、近くに行かないと何を言ってるのかわからないが、そういう奥ゆかしさもよい。
綿貫さんが一番強調したのは「競争と共生のバランス」。自民党の政策が競争万能主義をはびこらせ、礼儀と助け合いが軽んじられていると批判。会社などでも同僚との競争に血眼になり、あいさつもろくに交わされないという例を紹介した。これこそ、自由主義マンセーになった自民党が切り捨ててしまった部分であり、日本の保守の本質部分だ。国民新党が執念深く訴えつづけて、自民党はもはや保守政党ではないということを周知してもらいたい。
残りの時間では年金問題について語り、「現状も整理できていないのに、将来の年金の話や責任の所在を云々するのはおかしい。火事が消えていないのに、責任や新しい家の話をするようなもの。」と、これを奇貨として社会保険庁の民営化の話を持ち出す与党を暗に批判した。
最後に「国民新党は、ぶれない、魂の党」と表現し、候補者を紹介した。「魂の党」の前には「日本人の」という言葉が隠されていると、拙者は勝手に想像する。
応援の森田実さんは、「アメリカは年次報告書で日本に郵便業務の民営化を押し付けながら、アメリカの郵便業務については、ホワイトハウスで民営化は不可能という結論になった」という逸話を紹介したのが印象に残る。また、国会の最終盤で強行採決を繰り返した安倍政権を批判したりした。
森田さんが話している間に、綿貫さんが選挙カーから歩道に降りてきたので、握手させてもらった。「富山の森田さん(野党系無所属)を勝たしてあげてください」と声をかけると、張りのある声で「おう、がんばろう!」と応えてくれた。80歳とは思えないエネルギーがあり、「おう、がんばろう!」という言葉が場によく合っていた。小柄だが、拙者が生まれるずっと前から議員を勤めた戦後政治を代表する政治家に声をかけてもらい、ちょっと感動した。
綿貫さんは、歩道で聞いていた人に次々と握手して回っていた。たいていの人が綿貫さんとひとこと話をしており、大規模な演説会とはまた違ったよさがあった。記念撮影をさせてもらっている夫婦もいた。
用事があったので、拙者は森田さんの演説が終わったのちにその場を去った。
参議院選挙観戦ガイド(議席数予想1)
いままで三回にわたって、予想の基礎を示してきたので、今日はそれを使って各党の獲得議席数を予測してみる。
1.一人区
- 与党10%以上リード・・・富山、石川
- 与党5%以上リード・・・鹿児島、佐賀、愛媛、群馬、大分、福井、鳥取、香川
- 与党0%以上リード・・・山口、徳島、熊本、岡山(一部抜粋)
世論調査から、前回との比較で、与党→野党の向きで有権者数の5%が投票先を変えると見込まれる。だから、「与党が5%以上リード」より下は野党が勝ちやすいと思う。ただし、安倍さんの出身地である山口では自民が死守、綿貫さんの出身地である富山では野党系無所属候補が逆転するとみる。
3.比例代表
きのう、風込みで示したとおり。
4.結果
選挙区 | 比例区 | 獲得数 | 増減数 | 非改選 | 総議席 | |
---|---|---|---|---|---|---|
自民党 | 28 | 13 | 41 | −23 | 46 | 87 |
公明党 | 2 | 6 | 8 | − 4 | 11 | 19 |
与系無 | 1 | − | 1 | *** | 3 | 4 |
民主党 | 36 | 23 | 59 | +27 | 49 | 108 |
共産党 | 2 | 3 | 5 | 0 | 4 | 9 |
社民党 | 0 | 2 | 2 | − 1 | 3 | 5 |
国民新 | 0 | 0 | 0 | − 2 | 2 | 2 |
新日本 | − | 1 | 1 | + 1 | 1 | 2 |
野系無 | 4 | − | 4 | *** | 3 | 7 |
与党の過半数転落は確実で、野党は共産党、新党日本抜きで過半数を制するかが焦点。自民党、公明党は党首の責任問題へ発展も。民主党は一人勝ちの様相。共産党は現状維持±1、社民党と国民新党は現有議席割れか。新党日本は田中さんだけ当選か。抵抗勢力にがんばってほしいのだが・・・orz
ナンかライスか(1)
外食でインド料理屋さんに行くと、ナンかライスか選ばせてくれる店が多い。昼時に行けば、ナンもライスも好きなだけ食べさせてくれるところもある。
食べながら周りを観察すると、八割くらいはナンを頼んでいる。拙者も、慣れないうちは、必ずナンを頼んでいた。ナンをカレーと食べるのが本格的なインド式だと思い込んでいたからでもあるし、珍しかったからでもある。
でも、去年以来内外130以上のカレー店を制覇した拙者の至った結論は「ナンかライスなら、カレーにはライス」である。ご飯は、甘いもの以外はどんなおかずにも親和する、万能に近い主食である。カレーのような粘性のものとならば、混ざりやすいのもよい。絶対にご飯でなければならないのは、ホウレン草をペーストにしたタイプのカレーで、日本人ならのり佃煮の一種を食べているような感じがするはず。
ではナンはどうだ?それ自体が甘味をもっていて、カレーの塩辛さや辛さとけんかしてしまう場合がある。また、大きめの鶏肉など肉を乗せると、両方がぱさぱさして食べ心地が良くない。挽き肉を使ったキーマカレーの場合のみ、ナンも悪くない。ちょうど、カレーパンのようなものだ。でも、キーマカレーはごはんにかけて混ぜてもうまいので、ここでもナンの勝ちとは言いがたいものがある。
では、ナンはライスの前には出番がなさそうだが、拙者はナンもよく頼む。とっておきの食べ方があるのだが、その続きはしばらく待ってくれ。
関係ないけど、『正々堂々、抵抗勢力!』
参議院選挙観戦ガイド(比例代表)
これをもとに予想したいが、自民党と民主党についての世論調査は毎週詳細に行われているのに対して、そのほかの政党も含めての調査で連続的なものは少ない。ネット上に日経新聞の好意政党の調査が残っていたので、公明党以下はこれでざっくりと予想してしまおう。
びっくりするほど変わっていない。共産党が下げているのが目立つが、まあ誤差と言うことにしておく。というわけで、乱暴だが公明党以下は前回と同じくらいの得票率と仮定する。国民新党と新党日本は衆議院戦並とする。
最後に、もっとも無党派の影響を受けやすい自民と民主の得票率を、2ちゃんねるの世論調査スレッドから拝借する。
前回の票から、2新党の増分を他から均等に削り、朝日分の変化をスライドさせると予想が完成。
投票率60%超えで民主の一人勝ち。拙者の支持政党は0かっ! orz
いただきます!
とうもろこしを半分に折って2本にして、鍋でゆでる。煮立ってくると、湯に浮いた2本のとうもろこしが、水車のように勢いよく回転し始める。はじめは面白いと思って眺めていた。
見ているうちに、いろんなものを連想する。生きた魚などをそのまま熱湯に投げ込む、まだ潮をぴゅっぴゅっと吹いている貝をゆでる、あるいは釜茹でにされた石川五右衛門の最期。熱湯にゆでられて殺される生き物が、熱くて、苦しくて、切なくてもがいている様子に見えてきた、湯の中で回転するとうもろこしが。拙者はまさにいま、とうもろこしを殺しつつあるのだ。
禅宗のお坊さんから聞いた話をふと思い出した。「食事の前にいただきますと言うのは、なにをいただくのか?命だ!」
植物でも動物でも、生き物である限り、なんらかの形で生きようという意思はもっているに違いない。人間は動物と植物のそれを、ベジタリアンであっても植物のそれを否定しないと生きていけない。いや、ほかの動物も動物や植物を殺して生きている。植物の中にも、他の動物を殺して生きるものもあるという。
お坊さんは続けて言った。「仮に、おれがゴジラに捕まって食われるとする。そのときは、ゴジラも生きていかねばならないからと考えてあきらめる。しかし、もしゴジラがおれに踊り食いのようなことをさせるとするなら、おれは怒りで死んでも死にきれん。どうせ食われるにしても、徹底的に暴れてやる。」
人間はゴジラだ。どちらにしても、生き物の命を絶たないと生きられない。食べられる生き物が喜んで殺されてくれるなどとは思わないが、しかたがないと許してもらえる態度で食べ物に接したい。
口に出すにせよ、心の中で唱えるにせよ、「いただきます!」を食事のたびに忘れないようにしようと思う。肉体が、生き物の犠牲によって成り立っていることに感謝し、殺した生き物が許してくれるような生きかたをしなければいかん。
とうもろこしのおかげで、大切なことを思い出した日だった。
無事に生きてきた
今日は新潟沖で大きな地震があった上に、近所で火事も起こった。また、過日は大きな台風が西日本を襲った。
拙者は運のいいことに、震度4以上の揺れを経験していない。関東に住むようになってから、このくらいの地震は二回あったが、いずれもたまたま故郷に帰ったときに起こった。だから、震度5や6がどのようなものかは想像すらつかず、ただ非常に恐ろしいものだろうと思うばかりだ。火事もそんなに近くであったわけではなく、野次馬として見に行くくらいの距離だ。
災害ばかりではなく、死にそうな思いをしたこととか、家庭の問題などで苦労したこともないし、仕事でもたいして重圧になるような任務は背負ったことがない。
いままであまりにも無事に生きてきたことには、感謝しなければばちが当たる。しかしそれが、拙者を失敗を恐れる軟弱者にしてきたことにも思い当たる。恥を恐れて、好きな人にそれを伝えられなかったり、失敗を恐れて、本当にやりたいことや一段上の仕事を避けてきた。要するに勝負を避けてしまう。その結果、人生の幅を自ら狭めてしまっていると自覚している。
拙者の亡き祖父は、戦後裸一貫から事業を立ち上げた男だ。私財をはたいて未知の事業を起こし、従業員を20名ほどかかえるまで成長させて、父に後を譲った。多くの困難があったと思うが、一度も不安な素振りや怒りを会社の人に見せたことがないという。祖父が自慢話をしたことは記憶にないが、戦争でどこかの外地(東南アジアのどこかだろう)にあった頃、よく陣地が敵の空襲を受けたときの話だけはしてくれた。「空襲を受けているときにも、仲間と花札を続けた。慌ててどこかへ隠れても爆弾が落ちてくるかもわからないことは同じだから」と冗談っぽく話す。帰還する船では、マラリアにかかり生きるか死ぬかの状態で、ようやく実家に戻ってきた。
内地に残った人たちも、空襲で死ぬ思いをしたり財産を失ったりし、少なくとも飯が食えないという経験だけはほぼ等しくしてきただろう。戦後の日本を復興させてきたのは、こういった人たちの「死んだつもりになれば失敗などなんでもない」という胆力だったことは間違いない。
もちろん戦争も災害も貧困も、ないに越したことはない。しかし、そうした苦労で人間が大きく成長することは事実で、そんな目にあったことがない拙者のような人は、ある意味不幸なのかもしれない。もう三十路半ばの身では、成長の余地もあまりないかも知れないが、これからは少し苦労を背負い込むような生きかたを心掛けたい。そして、軟弱者ぶりを克服したい。
この数日の間の災害にあった方々の多くが早く被害から立ち直り、不幸を転じて成長されることを祈る。